私のジュエリー&アクセサリーNOTE

アクセサリーの収納やディスプレイ、ジュエリーのことなどまとめたノートです

そもそもコスチュームジュエリーってどんなジュエリー?先駆者はあのスーパースターデザイナー

スポンサーリンク

soboku.jp

 

 「 身に着けた人の個性を主張する」という意味のアメリカで大人気のステートメントジュエリー。

インパクトある大きめのアクセサリーブームは、1930年代以降のコスチュームジュエリー人気の再来と別記事に書きました。

jewelry.soboku.jp

 

時代を超えて人気の高い「コスチュームジュエリーの世界」には、奥深いものがあります。ここではコスチュームジュエリーとはどんなものなのかを、歴史的背景をひもときながらご紹介します。

 

コスチュームジュエリーとは?

 

コスチュームジュエリーとは高価な宝石や金・プラチナなどの貴金属を使わずに、ガラスやプラスチックなどの人造宝石と、合金などから作られた「イミテーション」のジュエリー・アクセサリーの総称です。

 

舞台や映画で衣装コスチューム用に着けられたジュエリーを起源とするという説もあります。

 

素材や色、デザインの制約がなく大胆・自由な発想で作られていて、素材の価値よりも、デザインと装飾性を楽しむジュエリーアクセサリーです。

 

コスチュームジュエリー先駆者はあのスーパースター・デザイナー

  

フランス語ではビジュー・ファンテジー。Bijoux fantaisies 

1920年代のパリのファッション界で一番最初にコスチュームジュエリーを流行させたのが稀代のスーパースター・デザイナー、ココ・シャネルでした。 

 

シャネルのパールネックレス:1920年代

シャネルのパールネックレス

 

第一次世界大戦後の女性の社会進出に伴い、自由や自立を求める女性たちに絶大な支持と人気を得たシャネルでしたが、コスチュームジュエリーに対する、次のような名言が印象的です。

 

「ファインジュエリー(宝石や貴金属で作られたジュエリー)は財産的な意味を持ってしまうが、おしゃれのための美を求めるなら、石や金属の価値ではなく、そのデザイン性にこそ価値がある。」

 

「本物であろうとそうでなかろうと、商品に総合的に客が満足できれば、価値はあるのだ。」

 

「コスチュームジュエリーを身に着ける女性は、宝石につられて男性に金で買われることも、騙されることもない自立した女性である」

 

シャネルのヴィンテージ・カメオブローチ

シャネルのヴィンテージ・カメオブローチ

 

1950年代ヴィンテージ・シャネル

1950年代ヴィンテージ・シャネル・パールネックレス

 

その後、ヨーロッパの社会情勢の悪化とともに1930年代、ユダヤ人を含む、高い技術を持つコスチュームジュエリーの職人たちがこぞってアメリカへと亡命しました。

 

この頃からコスチュームジュエリーの舞台が、アメリカに移り変わります。

 

ヨーロッパでは貴族や上流階級の間では、「コスチュームジュエリーはしょせん、模造宝石の安物」という価値観がまだ根強かったのですが、アメリカに渡ってはじめて、その価値と存在が評価されるようになったのです。

アメリカ本国では自然と自国の文化にとけこみ、その後多くのコスチュームジュエリーメーカーが育っていきました。

 

コスチュームジュエリーの舞台はアメリカへ

 

シャネルに大きな影響を受けた、アメリカのコスチュームジュエリーの女王、ミリアム・ハスケルは独自の技巧とセンスで、芸術的と称賛される作品を、次々に産み出しました。

彼女は数あるコスチュームジュエリーデザイナーの中でも、「別格の存在」と言われています。

 

ミリアム・ハスケル・パリュール

ミリアム・ハスケル・パリュール

 

ハスケル・ジュエリーの美しい当時の広告

ミリアム・ハスケルジュエリーの美しい当時の広告

 

その後ハリウッド黄金時代まで、トリファリ、アイゼンバーグや、ハリウッド女優がスクリーンで愛用したジョセフ・オブ・ハリウッドといったコスチュームジュエラーらの量産品が、花開く時代へと続きます。

 

女優達が身に着けた豪華なコスチュームジュエリーは、ハリウッド黄金時代に、多くの一般女性にも爆発的な人気を得ることになりました。

 

オードリー・ヘプバーンやマリリン・モンローなど多くの女優たちが、各ブランドの広告塔となり、上顧客の名を連ねました。

 

大女優ジョーン・クロフォードの没後には、自宅に大量のハスケル作品が見つかったと言われています。

 その一つ一つが、買った時の箱に丁寧に包まれ、日付や値段まで書いたリストが見つかり、いかに彼女がコスチュームジュエリーを大切にしていたかがわかる、というエピソードは有名です

 

ミリアム・ハスケル:ヴィンテージブローチ

ミリアム・ハスケル:ヴィンテージブローチ

 

コスチュームジュエリー全盛期に活躍したデザイナーやブランドは、パリ発のシャネル、ハスケル、スキャパレリ、クリスチャン・ディオールと、アメリカンブランドと成長した、トリファリ、アイゼンバーグ、ジョセフ、ワイス、コロ、リージェンシー、ロバート、デマリオ、ハグラー、ヴァンドーム、モネなど多数あります。

 

トリファリジュエリー:美しくもセンスあふれる広告

 

上流階級の人々にも浸透してゆくコスチュームジュエリー

 

1950年代には、「王位を捨てた恋」で有名な王族のウインザー候が、婦人にハグラ―のバングルをプレゼントしました。 

 

アイゼンハワー大統領夫人が、大統領就任式にトリファリのパリュール( 同じ素材とデザインの2点以上のセット )を身に着けて話題になるなど、女優や一般女性だけでなく、普通なら「本物」のファインジュエリー・オンリーであるはずの上流階級の社交界の人々にも受け入れられるようになり、浸透していったのです。

 

古き良き時代の象徴として、いまだに崇拝者の絶えない1960年代のファッションリーダー、故ケネディ大統領夫人のジャクリーン・ケネディ・オアシス。

彼女もコスチュームジュエリーの愛用者の一人でした。

 

ジャクリーン・O's :ガラスパール2連ネックレス

ジャクリーン・O's :ガラスパール2連ネックレス

 

ジャクリーン・O's:ラインストーンネックレス

ジャクリーン・O's:ラインストーンネックレス

 

d9408f790e5992b75dfdfc0f51191eca

ジャクリーン・O's・グリーン系の多連ネックレス

が目を引くインド訪問タージマハール

 

ジャッキーのようなステータスある地位にいる女性なら、ダイヤやルビーなど本物のジュエリーを身に着けるのが普通でした。

もちろんジャッキーは宝石もたくさん持っていたのですが、なぜフェイクのコスチュームジュエリーを好んで身に着けたのでしょうか。

 

それはフェイクなら、本物の宝石や天然石では、高価すぎて得ることのできない「ボリューム感」や「大胆なデザイン」が手に入ったからです。

 

ジャクリーン・O's遺品:サザビーズで競売にかけられた大ぶりのケネス・ジェイレーンの2点セット

ジャクリーン・O's遺品:サザビーズで競売にかけられた大ぶりのケネス・ジェイレーンの2点セット

 

ジャッキーはコスチュームジュエリーが似合うような、ラウンドネックのワンピースや、シンプルで上質の服を着こなした姿でたびたび公の場に現れました。

 

高額の宝飾品も着用して、時には安価なコスチュームジュエリーでお洒落を楽しんだのですが、装飾性の高いデザイン重視のネックレスを、ファッションのアクセントにする、という彼女なりのポリシーがあったといわれています。

 

アメリカのファッション産業の一文化を築きあげた、この時代のコスチュームジュエリーは、現在アンティークやヴィンテージ品として、世界中の熱狂的なファンやコレクターもいるほどになっています。

 

採算度外視の、丁寧な職人技で精巧に作り込まれたシャネルやハスケルの作品は、入手困難なコレクターズアイテムとなっています

 

CORO ヴィンテージ:アメジストラインストーンパリュール

CORO コロ:ヴィンテージ:アメジストラインストーンパリュール

 

時代を超えて女性に不可欠なコスチュームジュエリー

 

1960年代以降になると、化学的な新素材の開発がコスチュームジュエリーに、良い意味でも悪い意味でも影響を与えました。

 

効率重視の安価な大量生産品が多く出まわり、結果的にもともとフェイクであるコスチュームジュエリーに対するイメージが、低下するという皮肉な結果を招いたことは否めません。

 

ヒッピー文化の、ラフで着飾らないファッションが支持されたこともあり、一時的になりますがこの頃はアクセサリーの需要が減った時期でもありました。

 

1970年代以降は保守的なファッションが再び流行し、高品質のコスチュームジュエリーが、プレタポルテ(高級既製服)のブランドの服と組み合わせるために選ばれたため、人気が盛り返しました。

 

1d48d4506a33de82281bb5628322523a

vogue 1975

 

人々の商品や作品に、意味を求めたがる傾向が強くなっている現代においては、芸術作品のようなヴィンテージのコスチュームジュエリーの方が、安物のファインジュエリーより、よほど価値があって高価で取り引きされているのは不思議ではありません。

 

どんな時代においても、洋服を引き立てて、身に着けた人の個性を表現するためには、何らかのアクセサリーを含む装飾品が必要となります。</p>

また、装飾品はコーディネートの道具として使用するのに、決して本物でなくてもよいのです。

 

コスチュームジュエリーには、本物のジュエリーの小さなサイズ内では表現できない圧倒的な存在感があります

 

今ブームのステートメントジュエリーも、そうした女性のニーズに応える大切な、ファッションツールとして「主張」(ステートメント)し続けているのだと思われます。

 

参考:別冊太陽「コスチュームジュエリー」平凡社 

 

コスチュームジュエリー関連・おすすめの書籍

コスチュームジュエリー―1920sー1970s (別冊太陽)

コスチュームジュエリー―1920sー1970s (別冊太陽)

 

こちらは国内で出版された数少ないコスチュームジュエリー解説本の永久保存版です。

初心者からコスチュームジュリーファンまで幅広く楽しめる内容になっています。

 

インターネットで多くの情報を得られる昨今ですが、ハスケル、ディオールなどの作品は、未だにネット検索では限界があります。ですがこの本には往年の珠玉の名作が数多く抜粋・紹介されているのです。

コスチュームジュエリーの基礎知識や歴史的背景、刻印の見方、メンテナンスについて、詳しく解説されていて、本としての構成と文章も秀逸で、まさに名著と言える一冊だと思います。

個人的にはジャクリーン・ケネディ・オナシスの遺品の特集ページが印象に残りました。(この記事でもご紹介したかったのですが、ネット上ではどこを探しても見つかりませんでした。)

 

トップコレクターや有名老舗店から、この本のために特別に集められたように思える素晴らしい名作コレクションが見られることも、絶版になったにも関わらず、本の人気が高止まりし続ける理由だと思います。

 

Miriam Haskell Jewelry

Miriam Haskell Jewelry

 

コスチュームジュエリーの世界でも別格の存在と言われる人気のミリアム・ハスケルファン必見の一冊です。

 

渡辺マリのミリアム・ハスケルコレクション

渡辺マリのミリアム・ハスケルコレクション

 

 

Costume Jewelry (DK Collector's Guides)

Costume Jewelry (DK Collector's Guides)

 

洋書ですがコスチュームジュエリーが満載で見ているだけでワールドに浸れます。一冊でコスチュームジュエリーメーカーそれぞれの特徴などがわかります。写真を見るだけで十分な価値があると思いました。この分野の目利きの方々が絶賛されている一冊です。

 

Fabulous Fakes: A Passion for Vintage Costume Jewelry

Fabulous Fakes: A Passion for Vintage Costume Jewelry

 

 フェイクという表現もあるコスチュームジュエリーですが、時代ごとのコスチュームジュエリーが、わかりやすく紹介されています。たくさんのコスチュームジュエリーが満載で、写真も美しいです。

jewelry.soboku.jp